ギフテッドの集い

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本を書いてみよう ー ヒトの物語(12)

こんにちは、やすくんです。







以前、「本を書いてみよう」と言う記事を投稿しました。
自分から見える世界を表現してみようと思います。一度に書くのはしんどいので、連載形式で挑戦します。







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ヒトの物語(12)






「なぜ神は私を愛さない!なぜ私の望む物を与えないのだ!私はあなたの子ではないのか!」大理石で出来た荘厳な宮殿に、悲痛な叫びがこだまする。どんよりした空が王に静寂で応える。そこに神の慈愛は存在しないかの様だった。初老を迎えるヒトの長は、まるで大きな傷を負ったかの様に苦悶の表情を浮かべながら、子供の様に大粒の涙を溢れさせて叫んだ。


その涙は宮殿から流れ出て、山から川、川から海へ、自分達の土地を取り囲み、少しずつ侵食する海へと流れ込む。大航海時代を経て精密に作られた100年前の地図は、今や大きく塗り替えられ、ヒトの住むことが出来る陸地はほんの僅かとなった。王と言うモノは本来、自分の領土を拡大したいと願うものだ。それにもかかわらず、この王は年々、自分の領土を失っていっている。反撃しようにも、そうすべき相手がいない。ただ手をこまねいている以外、何も出来ないのである。


「原罪」それはヒトの始祖が神より与えられた楽園において、ヒトが神の愛に背いた唯一の咎を指す。元来、ヒトは神である自然を深く愛する生き物であった。四季折々の植物を愛で、野山の中で動物と戯れ、清流に喉を潤し、輝く夜空と暖かな大地に包まれて眠る、そんな神の愛に溢れる生活を過ごしていた。ところが、愛に背いた罰は、愛を失う事を代償とした。神の愛に背いたヒトは、その結果、何も愛せないモノと成り果ててしまった。


この罪は、本来ヒトが持っていた「愛」に関する遺伝コードを書き換え、ヒトの子孫達が何かを愛する事、そして、神にもう一度愛される事を半永久的に困難にした。そう、「原罪」は後世に遺伝していくのだ。涙を流し懇願するヒトの長が神に愛される事はもうない。そのモノが神を愛さないのと同様に。ヒトは愛が何なのか、愛する事がどういう事なのかを忘れてしまったのである。


ヒトの前で植物は実らず、動物は隠れてしまう。夏には無慈悲な雷雨とそれが引き起こす濁流にヒトは苦しみ、冬には凍てつく大地にヒトは寝床を見つける事が出来ない。神なる自然は今やヒトを守ってくれる者ではなく、脅威となった。ヒトが神なる自然をもう一度愛する事が出来るようにならない限り、神がヒトを愛する事はない。


「憐れな愚かモノ、その事に未だ気が付いていないとはな・・・」宮殿の柱の陰にはほくそ笑む姿があった。






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初めてなので文章はぎこちないですが、こうやって何かを考えるのってとっても楽しいです。どんどん自分の世界を表現していくのだ!