ギフテッドの集い

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本を書いてみよう ー ヒトの物語(11)

こんにちは、やすくんです。






以前、「本を書いてみよう」と言う記事を投稿しました。
自分から見える世界を表現してみようと思います。一度に書くのはしんどいので、連載形式で挑戦します。






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ヒトの物語(11)




言い伝えに反し、地上を覆った水は40日で引くことはなかった。いや、そもそも、ある日突然発生したものですらなかった。神を怒らせた、と言うよりは、自分で自分の首を絞めた、と言うほうが、その現象を説明するのに適切な表現であった。夜更かしをすれば、翌日眠くて辛い一日を過ごすと言うのと同じ様なものだ。

洪水は大雨によってではなく、氷河や氷山、氷の大陸が解けて大量の水となり、海や川の水位を上げたことで起こった。それは何十年も掛けて徐々に、ヒトの住むことが出来る土地を侵食していった。ヒトは高台へ、丘へ、更には山へと追われ、何千年も掛けて築かれた文明の多くはゆっくりと静かに沈んで行った。

多くのモノが飲み込まれて行く間も、ヒトはその先祖から受け継いできた遺伝子に従い、神が創造した世界を破壊し続けた。森林を伐採し、野山を掘り返し、大気や河川に化学物質を垂れ流し、他の生物を絶滅に追いやり、その事に気付きながらも、目先の欲に理性を囚われ続け、利便性と富を求めた。

癌細胞は遺伝子の複製の際、何らかの原因でそのコードが正しく複製されなかった結果として生まれると言う。そして誤ったコードを基に増殖し、その生き物の生命活動を困難なものとする。今やヒトは地球と言う生き物の癌細胞となっている。ヒトも本来はこの世界に調和した生き物であった。自然はヒトを特別には創りはしなかった。それが、仕組まれたコードの掛け違いにより、いつしか特別なモノ、いや、異常なモノへと変化し、増殖した。

ヒトの異常性、そして、癌細胞との共通点は、その宿主の再生許容範囲を超えた破壊である。しかし、その非共通点は、癌細胞はそれを認知していないのに対し、ヒトはしていることである。そう、ヒトは宿主である地球を破壊していることを認知しているのである。それではなぜヒトはその破壊を止めないのであろう?

ヒトはその昔、神である自然を愛していた。その胸の中で生まれ、その胸の中で育ち、その胸の中で死んでいった。神もまたヒトを愛していた。ヒトが必要とする全ての物を与えた。ヒトはそれで十分だった。満ち足りた生活を、満ち足りた人生を送っていた。

ところがある日、ヒトの中にソレから生まれたモノが現れた。このモノはそれまでのヒトとは大きく異なった。いつも不足を感じ、何かを得ることに必死であった。自然や世界との間に調和することがなかった。このモノから生まれたモノもまた同様であった。このモノの子孫が増える度に、世界から調和が失われていった。やがてこのモノの子孫は互いに奪い合い、憎しみ合い、傷つけ合う様になった。

ヒトは何故にこうも醜いモノとなったのか?40億年以上も昔に形成された地球では、永遠とも思われる時間を掛けて植物や動物が発生し、その後、地上にはヒトの始祖となるモノが誕生した。全ての生き物は持って生まれたコードに従い、草花は大地を美しく彩り、動物達は野を駆け、空を舞い、水飛沫を上げて、その楽園での生活を謳歌していた。全ての生き物は神に与えられた美しさを身に纏い、神の寵愛を受けていた。生きとし生ける物の幸せは永遠に続く様に思われた。

それは楽園にはおよそ無縁だったどんよりした雲のかかる日であった。平穏だった楽園の隅々までに轟く雷鳴と共にソレは堕ちて来た。青白く輝く雷はそのモノの翼を焼き、大地に投げ落とした。雷撃によって焼け焦げた肌は無残で、その一部は細胞レベルで崩壊が起こり、そのモノの強力な再生能力をもってしても、元の美しい姿を再現出来ないでいる。以前は慈愛に満ちていたであろう眼は、今や憤怒で天を睨みつけている。愛と美しか存在しなかった楽園に今、憎と醜が生まれた。

ソレは自らをアンゲル ー天の使いー と呼んだ。





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初めてなので文章はぎこちないですが、こうやって何かを考えるのってとっても楽しいです。どんどん自分の世界を表現していくのだ!