ギフテッドの集い

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本を書いてみよう - ヒトの物語(3)

こんにちは、やすくんです。




以前、「本を書いてみよう」と言う記事を投稿しました。
自分から見える世界を表現してみようと思います。一度に書くのはしんどいので、連載形式で挑戦します。




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ヒトの物語(3)




厚いカーテンの隙間から差す日の光。
昨夜は眠りにつく直前まで読書に耽った。ベッドから起き上がり、自室の静かに開けて、階段を下る。シャワーを浴び、朝食を取る。まるで遠足に出かける日かの様に心が躍る。昨夜のリサーチの続きを早く始めたいと彼の好奇心が急き立てる。パソコンの電源をオンにし、準備を始める。


長い間使い続けられているパソコン。彼は譲り受けたモノのCPUとメモリを自分で交換し、OSを入れ替えて、古いパソコンを延命している。出来るだけゴミは出したくないと考えるからだ。近頃は本当に安くで電気製品を購入出来る。パソコンもその一つだ。子供でも一回のお年玉で買えてしまう。手軽な値段のためなのか、OSのアップグレードが要求されるタイミングに合わせて、ITに疎い一般人はまだまだ使えるパソコンの買い替える。モノにも命が宿っている様に感じる彼には悲しい事だ。


パソコンは「1」と「0」の二つの信号をデータ処理に用いている。色でも、数字でも、形でも、音でも、何でもこの二つの信号の組み合わせで表現出来るのである。それはまさに、DNAに含まれる、塩基と呼ばれる四つの信号を用いた遺伝子情報からタンパク質を作る様だ。ヒトは二次元の世界に生命を創っている。いつの日にか、ヒトは「1」と「0」の二つの信号を用いて三次元の生命を創るのか?


リサーチをしているとあっという間に時間が過ぎた。今日は学校は休みだが、午後は部活がある。昼食を済ませ、出掛ける準備をする。サッカー部に入部した彼は夏の午後の練習が嫌いだった。36度を超える炎天下の中、4時間も外を走り回る。剣道部出身のスパルタ体質の顧問は、水分補給の機会を数回しか与えない。顧問の機嫌を損ねるような態度やプレーをすれば、ペナルティとしてグランドを延々と走らせる。それが辛くて練習に出てこない部員もいる。しかし、他の部員が辛い練習に耐えているのに、自分が練習に出ないのはフェアではないと考えていた。


夕方5時、やっと練習が終わる。しかし、下級生にはグランドの整備や備品の片付けなどの仕事が待っている。それが終わるまで水分補給は許されない。抜け駆けでこっそり水分を摂る者もいるが、彼は我慢する。「あぁ、誰かこの仕事代わってくれないかなぁ」誰かがぼやく。「来年になったら新入生が入って来るから、そしたらこの辛い仕事ともおさらば出来るよな」


ヒトはいつの時代も、辛い仕事や危険な仕事を他の誰かにさせようと考える。どの時代でも、どの国でもだ。それはまるでヒトの遺伝子にそうするようにと埋め込められたコマンドの様だ。それはヒトの本質の一部なのだ。初期の農業はヒトの手で行われた。しばらくすると、牛や馬などの家畜に力仕事をさせるようになった。科学の進歩により、風力や水力などの力も用いられるようになった。現代では蒸機機関や電力が使われる。多くの仕事において、他の誰かではなく、他のモノに単純な仕事や計算を伴うような仕事をさせるようになった。それは機械であり、コンピュータである。そして今、ヒトはもっと複雑な仕事、そう、情報の分析や高度な判断などを任せるべく、AIの研究を進めている。一見、ヒトは自由になりつつある様に見える。あと数十年もすれば、AIの能力はあらゆる面でヒトのそれを超えると言われている。シンギュラリティと呼ばれるイベントである。仮にシンギュラリティが実現した場合、AIが全ての労働を肩代わりし、ヒトは本当に自由を得るのだろうか?いや待て、そもそも自由とは何なのか?部活動を終えた夕焼け空の帰り道、歩道橋の上で彼はふと歩みを止める。不気味な程に赤い夕焼け空が、地平線の彼方に夜の帳を下ろそうとしている。



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初めてなので文章はぎこちないですが、こうやって何かを考えるのってとっても楽しいです。どんどん自分の世界を表現していくのだ!