ギフテッドの集い

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本を書いてみよう - ヒトの物語(4)

こんにちは、やすくんです。


以前、「本を書いてみよう」と言う記事を投稿しました。
自分から見える世界を表現してみようと思います。一度に書くのはしんどいので、連載形式で挑戦します。


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ヒトの物語(4)


すっかり静まり返った家の中。
時計の針は零時半を指す。その静けさから、未だ眠りについていないのが彼だけであることが分かる。今夜は久しぶりに神話や伝説についてインターネットで調べている。神々にまつわるエピソードや、天使と悪魔の戦い。昔の人はとても想像力が豊だったのだなと彼は感心する。神も天使も悪魔も実際に存在を確認出来ない世界で、数々の興味深い物語を生み出した力には脱帽だ。


科学者を志す彼は、観察出来ないモノを「存在する」とも肯定もしないし、「存在しない」とも否定もしない。論理的思考が強い彼は、所謂、「悪魔(が存在しないと言う事)の証明」が不可能である事に早い段階で自ずと気付いた。そして、この証明が不可能な事は、科学にとって、いや、人間の成長にとって、とても重要である事にその後気付く。人知に及ばないモノの存在を否定しないからこそ、可能性を信じ、想像力を働かせて、ヒトの文明はこれまでずっと発展して来たのだ。根拠なく否定しないからこそヒトは宇宙や科学について、あらゆる可能性を持って考え続けることが出来る。それが彼の考え方の根本にある。


同時に、非科学的なモノの存在は彼の好奇心を掴んで離さない。その昔、神がヒトを創り出した事、天使がヒトに嫉妬して神に反逆した事、これらの堕天使達を悪魔と呼ぶ事・・・。「ヒトを創った神とその御付きの天使と悪魔か・・・」 この宇宙のどこかに、いや、もしかしたらこの宇宙の外に、この世界や地球、ヒトなどを創った創造主がいるのだろうか?


ホーキング博士はその著書の中で宇宙を「常にサイコロが転がる巨大カジノ」、そして、神を「ギャンブラー」と例えている。この言葉の解釈について彼は彼なりのアイデアを持っている。宇宙や星、生命などあらゆるものは天文学的な時間を経て、今の形を成した。地球はおよそ46億年前に形成され、およそ35億年前に初めての生命が生まれた。この11億年の間、地球を含む宇宙は生命が誕生すると言う偶然を、例えるならば、無数のサイコロが全て「1」を出す偶然を、毎秒の様にサイコロを振りながら待っていたのではないかと彼は考えていた。時間を忘れるほどリサーチに集中していた彼は椅子から腰を上げ、ベッドに横なり、目を閉じて静かに考えに耽る。


天井のLED照明が眼球を通して脳を刺す様に彼に光の矢を送り続ける。目を覚ますと午前4時だった。突然眠くなって、照明も消さないままベッドに横になったらしい。「あぁ、夢だったのか」それは天使と悪魔の戦いだった。登場した天使と悪魔は、漫画や映画で描かれる様な姿をしていなかった。羽も無ければ、尻尾もない、ヘイローも悍ましい形相も何一つ持ちあわせていなかった。羽の代わりに、見たこともない飛行機を操っていた。操縦するモノ達は、明らかにヒトではない事が分かるのだが、その表情のあちこちにヒトの面影を宿していた。SF映画のワンシーンの様な未来の科学技術を用いた戦闘は、ヒトから見ればまさしく魔法の様であった。


「汝らが崇めているモノは神などではない!あのモノは傲慢なるペテン師に過ぎぬは!」その表情にどこか悲痛さを感じさせる操縦士の叫びが敵対するモノの意識に直接伝わる。「だっ、だまれ、裏切り者!偉大なる神の創造が我々を危険で不快極まりないあの労働の苦痛から自由にしてくれたではないか!」敵がこれに応酬する。地上には、宙で繰り広げられる激しい戦いと怒声に怯えるヒト達の姿が見える。ヒトには理解出来ないそのモノ達の叫び声も、怒りや悲しみの感情としてヒトの意識に伝わるらしい。


天使と悪魔、いや、神の御付き達に課された労働とは何なのだろう?神は何を想像したのだろう?彼の頭の中に疑問が湧いて来る。しばらく考えてみたが、答えは出ない。再び眠気が彼に訪れる。灯りを消して、再びベッドに横になる。「もう寝よう、明日は学校だ」


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初めてなので文章はぎこちないですが、こうやって何かを考えるのってとっても楽しいです。どんどん自分の世界を表現していくのだ!